学校コンサルタントが定員割れでお悩みの学校に効果的な学生募集の方法、繁栄するための学校経営、経費削減などについてアドバイスします。
ライフサイクル
学校経営にも商品ライフサイクルという考えは当てはまります。
「えっ?」と思われるかもしれませんが、次の図をご覧ください。
以前にもご覧頂いたことがあると思いますが、少し、ライフサイクルについて説明します。
導入期というのは、新しいものを取り入れることで開発費も掛かります。また、社会認知度も低いために、広告費用も嵩みます。
ですから、この導入期というのは、ほとんど利益がでないものです。
成長期に入ると、競合も多く参入してくるために、社会的認知度も高くなります。
この時期になると、ほとんど説明をしなくても商品が売れるので、広告費も少なく済みます。その結果として、効率よく利益が上げられます。
ライフサイクルの中で利益が出るのは、この時期だけですから、他からの参入が殺到してきます。その結果、需要と供給のバランスが崩れてしまうのです。
さらに、次の成熟期に入ると、需要と供給のバランスが崩れたことから、赤字経営になる会社(学校)が多くでてきます。いわゆる自然淘汰の現象です。
この時期に生き残る会社というのは、成長期のときの利益をしっかりと蓄えている資金力のあるところです。
また、成長期に次にやってくる成熟期のために基礎固めをし、ブランドをつくったところが残ることになります。
自然淘汰によって、競合が減ることによって、再度、需要・供給のバランスが安定してきます。その時に、資金力、経営力、商品力、ブランド力が強いところが、勝ち残ることになるのです。
これは、会社に限らず、現在の学校経営にもそのまま当てはまることでしょう。
現在、一部の学校、学科を除いて、ほとんどの学校が成熟期を迎えて、厳しい経営状況にあります。
特に介護系の大学・専門学校や医療系の技工士専門学校など、きつい労働の割りに賃金が低いという理由などから、応募者が集まらず、募集停止の学校・学科が相次いでいます。
このような厳しい状況から脱却するには、どうすればいいのでしょう?
次の図をご覧ください。
本来ある成熟期の曲線から赤線が出ています。
これは、何を意味しているかと申しますと、この時期に新たに導入期をつくるということです。
社会の変化や政治的変化を待つなど消極的な心構えでは、この局面は乗り越えられません。
自らが新たに導入期・成長期を創造することによって、学校経営を存続させられることでしょう。
この時期によくある間違った考え方があります。
他の学校(学科)が調子よくいっているので、自校も現在の学校(学科)を辞めて、そちらに乗り換えようというものです。
一見、調子の良いものを見ると、誰でも真似したくなるものですが、絶好調の業種はすでに成長期の後半であることが多いものです。
ですから、この時期に参入しても、すでに手遅れなのです。
新たに導入期を創造するためには、内部職員だけではなく外部からの知恵も取り入れて、知恵を搾り出すことがないといけません。
思いつきのような考えでは、余計に経営を圧迫することになることでしょう。
では、どうすれば、正しいアイディアが出せるのでしょう。
それは、教育にかける情熱です。
誰にも負けないという教育への情熱があれば、アイディアはいくらでも出てくるものです。
そして、教育にかける情熱があれば、そのアイディアも社会に受け入れられるはずです。
私自身、そのように信じています。
先日、テレビの放送で、立命館アジア太平洋大学が紹介されていました。
立命館アジア太平洋大学は、立命館のUSPでもある国際関係学部を前面にだした留学生中心の大学です。
また、2008年5月現在、世界81カ国・地域から2,630名の留学生が3,238名の日本人学生とともに学んでいます。
留学生の数が国内からの学生数と同じくらいあるというのですから、日本の学生にとっても国内の大学で留学しているような環境で学べます。
これだけの数の外国からの留学生を一度に受け入れた大分県の別府市では、この留学生を観光ガイドのアルバイトとして雇うことによって、外国からの観光客が大幅に増えたそうです。大学誘致の戦略が当たったようです。
入学者が減少したことの対応策として、外国からの留学生を中心に応募するという発想の転換はみごとです。
また、はじめての試みで、当初は、立命館大学だけではなく、受け入れる別府市にも大きな不安材料があったはずですが、それを乗り越えて成功した、立命館大学や別府市には尊敬します。
この例は、「やればできる!」という良い見本です。
ご参考になれば幸いです。
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