ネット戦略
他の業種ではネット戦略は当たり前になっていますが、まだまだ学校業界では、ネット戦略ができていないところがほとんどと言ってもいいくらいです。
5年ほど前までは、消費者の行動は「AIDMAの法則」が成り立っていました。
AIDMAの法則とは
A(Attention=注意)
I (Interest=関心)
D(Desire=欲求)
M(Memory=記憶)
A(Action=行動)
の5つのステップです。これが、消費者の代表的な行動パターンでした。
たとえば、
1、テレビで新車のコマーシャルを見て、興味をもちます。
2、興味を持ったので、ディーラーのショールームに出かけパンフレットをもらってきます。
3、貰ってきたパンフレットを自宅で眺めながら検討する。
4、ディーラーにもう一度出かけて試乗する。
5、乗り心地に納得し気に入ったので、ローンの試算を依頼し、自宅で検討する。
6、購入の意思が固まったので、再々度ディーラーに出かけて申し込む。
このように、興味をもってから、何度も小さなステップを踏みながら、より欲求度が強くなっていき、最終的に購入に至ったのです。
あなたにも思い当たる節はありませんか?
ところが、ここ最近、インターネットの普及で、消費者行動も「AIDMAの法則」が崩れ、「AISASの法則」に変化しています。
「AISASの法則」とは、
A(Attention=注意)
I (Interest=興味が生まれる)
S(Search=検索する)
A(Action=購買)
S(Share=情報の共有)
「AISASの法則」を先程の新車の購入ステップと比較すると、
1、新車のコマーシャルを見て、興味をもちます。
2、インターネットで検索し、メーカーのホームページを見ます。
3、動画を見て楽しんだり、パンフレットのPDFファイルをダウンロードして検討します。
4、ローン試算フォームに入力し、予算を確認する。
5、ユーザーの感想が書かれているブログなどをチェックする。
6、納得したので、ディーラーに出かけ、試乗して問題がなければ購入する。
はじめの「AIDMAの法則」との違いは、お気づきだと思いますが、
コマーシャルによって注意が喚起され、興味が生まれるところまでは、同じです。
しかし、その後、購入に至るまでの行動が大きく違っています。
ネットによる検索と、消費者同士の情報共有です。
前者の「AIDMAの法則」が何度もディーラーに出かけているのに対し、後者の「AISASの法則」では、インターネットを利用して、多くの情報を入手しています。
資料もダウンロードし、ローンの試算もネットで済ませ、さらには、一般人のブログなどへの書き込みから、その車の評価やディーラー自身の評価まで知るためにネットで調べています。
このようなステップを踏んでいますので、最終的にディーラーを訪問してきた見込み客というのは、「買うつもり」で訪問してきています。後は、実際に試乗して最終確認するだけなのです。
営業マンも、今までのように、ディーラーを訪れた見込み客に対して、しつこく説明したりセールスする必要がないのが特徴です。
それまでに、あらゆる情報をネットから入手しているので、営業マンも「試乗されますか?」、そして、「何かご質問はありますか?」との確認作業だけでいいのです。
このように、時代はインターネットによってスピード化されています。
ところが、学校業界では、今でも、「AIDMAの法則」をかたくなに信じて行っているところがあります。
一般的な募集ステップとしては、
ガイドブックへの掲載や広告から資料請求を期待します。その資料請求者に学校案内を送った後、ダイレクトメールを送ります。このダイレクトメールには、オープンキャンパスや体験入学への参加を促すことが目的です。
最終的には、オープンキャンパスや体験入学に参加したことで、自校に「入学したい」と思ってもらうことが狙いです。
この方法がすべて間違っているわけではありません。
しかし、先程からご説明していますように、消費者の行動自体が変化してきています。
それは、学生募集でも同様です。
いや、それ以上に相手がインターネットに敏感な若者なので、顕著に変化しています。
その事実を認識していない学校では、今後の学生募集では取り残されることになるでしょう。
「いや、ウチの学校では、立派なホームページを作っている。」と仰るかもしれませんが、
パソコンで、「充実、学生生活」、「面白い授業」と検索しても、ヒットしなかったりします。
大学などではネット戦略が進んでいますので、このようなキーワード検索でも検索結果の一ページ目に表示されます。
ところが、専門学校では、ほとんどが表示されていないのが現状です。
単純に学校名だけで検索する受験生をターゲットにしていては、これから学生を集めることは困難でしょう。
また、先程も説明しましたように、学校側が一方的に流している学校ホームページの情報だけでなく、在校生や卒業生が自身のミクシィやブログに書き込んでいる学校の評価などを読み、受験生が学校選択のための情報としていることも大きな特徴です。
インターネットではこのような情報が氾濫しています。そして、携帯電話でもインターネットが利用できるようになり、さらに、加速しています。
このような状況を「時代の流れだから仕方無い。」とあきらめてはいけません。
この状況を逆手にとって、こちらからも受験生が望むような情報を与える必要があります。
学校ホームページとは別の目的で、異なる視点からブログを書くことも大事です。
また、自校の学科や専門的な学問に特化したホームページをつくることも大事です。
資料請求者やオープンキャンパス参加者だけを対象にしたメルマガの発行もコミュニケーションを構築するうえで大切でしょう。
そのようにして、良い情報を多く与えていくことが、ネット戦略では重要です。
キーワード検索してもヒットしなかったり、ホームページを閲覧しても本当に知りたいことが分からないのでは、入学に関心のあった者も離れていきます。
それよりも、学校の情報がネットからいくらでも入手できる学校に人気がいくことになります。
そうならないためにも、ネット戦略を充実することが、これからの学生募集では重要なことです。
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