最近、テレビで報道されていましたが、魚屋さんが半減しているそうです。
私の母方の実家(祖父母)が魚屋だったこともあり、関心のあるニュースでした。
魚が大好きな私からみれば、「魚屋が閉鎖するなんて、どうしてなんだろう?」とおもってしまいます。
しかし、こんなふうに、時代とともに食生活も変わっていくのが現実なのでしょうね。
でも、冷静に考えてみてください。
閉鎖してしまった魚屋さんは、お客が減っていく現実を目の当たりにしながら、じっと指をくわえて見ていたのでしょうか?
そんなことは無いとおもいますが。
周囲からそのように取られても仕方ないかも知れませんね。
実際、母方の実家(現在は叔父夫婦が経営)の魚屋では、時代とともに売られている商品が変わってきています。
以前は、魚が主流でした。魚屋ですから当たり前ですね。
ところが、いまでは、陳列している魚の量は、全体の商品の2割ほどしかありません。
魚より、他の食料品がほとんどです。食料品だけでなく、日用品まで置かれている、いわゆる雑貨屋です。
そういうふうに、叔父の店がお客のニーズに合わせてきたことで、現在もお客を獲得できているのでしょう。
売る商品は市場によって決まる
マーケティングの基本は、売る商品は市場に聞くことから始まります。
どんなに良い商品だと思っていても、市場にニーズがなければ売れません。
魚屋が良い例です。
「ウチの魚は新鮮でどこより美味しい。」と思っていても、近所の住民の多くが魚を嫌いであれば、売れるはずがありません。
学校でもおなじことが言えます。
「ウチの学校では、こんな素晴らしい教育をしている。」と言っていても、受験生にとってニーズがなければ、入学してくるものも少なくなります。
当然のことです。
魚屋のニュースを聞けば、「こんな当たり前なことも解かっていないのだろうか?」とおもいますが、
客数が減っている、入学者が減っているという場合、閉鎖になった魚屋と同じことをしているケースがよくあります。
たとえば、先程の魚屋の例ですが、原油高騰の影響で仕入値が高くなったから、小売価格を上げたとします。
そうしないと利益が減ってしまうので仕方ないことです。
ところが、お客にとっては、仕入値が高くなった理由など関係ありません。
お客にとって大事なのは、「今までどおりの価格で美味しい魚。」が買えることです。
このように価格を決める上でも、決定権を持つのは、市場(マーケット)にあります。決して売り手であるお店には無いということです。
これらを間違えると、市場からそっぽを向かれるということになります。
魚屋がどんどん閉鎖していくことは悲しいことですが、時代の流れからいえば当然すぎることです。
時代の流れに逆らった経営をしていては、お客の数が減り赤字続きの経営になってしまいます。
現在、学校経営でも魚屋と同じ状況が起きています。
学生が集まらなくなり、募集停止や閉校になる学校が続出しています。
あなたの学校がそうならないようにするために、大事なことがあります。
それは、市場を調査して、市場ニーズを理解することです。
市場ニーズに合わせた経営戦略をすることは、経営の基本です。
先ずは、そこからスタートすることによって、学校経営を建て直すことになります。
市場調査(マーケティングリサーチ)
上の続きで、市場調査のお話をします。
先程が魚屋のお話でしたが、今回は、魚釣りの話です。
じつは、私は三重県の最南端にある熊野というところの出身です。
熊野は七里御浜海岸や磯が綺麗なところで、海釣りのメッカでもあります。
ご多分に漏れず、私も海釣りが大好きです。
釣りに興味が無い方には、今回の話は分かりにくいかもしれませんが、できるだけ分かりやすく説明いたしますので、お許しください。
それでは、
「釣り好きは短気な人が多い。」とか、「短気な人の方が釣りに向いている。」ということを聞かれたことは、ありませんか?
この言葉は、釣りのポイントを付いている言葉です。
じつは、釣りというのは、見えない魚がどこにあるのかを見つけることで、ほぼ、その日の釣りの成果が決まってしまいます。
当然ですが、ターゲットである魚が無い場所では、釣り人がいくら頑張ってみても、名人でさえ釣ることは無理です。
ですから、1匹も釣れないのに、いつまでも気長に釣っているようでは、1日中粘ったところで釣れることはないわけです。
ところが、短気な人というのは、少しの時間だけ釣りをしてみて、釣れなかったなら、すぐに場所を変えます。
とにかくじっと待てないのですから、場所を変える前にも、色々と浮きの深さを変えてみたり、仕掛けを変えたりと、チャレンジするものです。
そうやっているウチに、魚が釣れることになります。
いろんな仕掛けと餌をつかって工夫をするので、結果的に釣れる確率が高くなるのです。
私の方法は、そんな良く釣れている人の隣に行って、「たくさん釣れてますね。」と声を掛けて友達になることです。
誉められて嫌な人はいませんから、ほとんどの人は優しく仕掛けの方法やポイント(魚が居る場所)など丁寧に教えてくれます。
大体、教えられたとおりにやると、私だけでなく、釣りの技術の無い人でも釣れます。
魚釣りは、よく初心者が釣れますが、技術より、良く釣れる場所と仕掛けを知っていることの方が大事なのです。
情報収集
ですから、釣りの名人といわれる人は、まめに情報集めをしています。
情報元は、スポーツ新聞の釣り欄にも載っています。
「○月○日、熊野の○○磯の釣果、ハマチが10匹、小アジ多数。」というように、新聞を見れば、どこでどんな魚が釣れているかすぐに分かります。
これは、魚釣りの好きな人なら分かることなのですが、ハマチやアジなどの魚は、回遊魚ですので、一つの場所に落ち着いていません。
絶えず、広い海を回遊しています。
餌を探して回遊しているのです。
ですから、良く釣れているという情報があれば、すぐにその場所に行かないと、2、3日で他の場所に移動してしまうこともあり、釣れないことも良くあります。
一週間前に釣れていたから、また釣れるという保障はありません。
それどころか、2日前には、針から浮きまでの長さが3メートルだったのに、今日は5メートルになっていることもあります。
これは、海の潮の流れによって、水温が変化することによって、魚の好きな温度の深さに移動するのです。
ほかにも、魚の性質で空腹の時には、水面の近くに浮いて餌をあさりますが、ある程度、餌を食べると、海底に沈むようです。
これらの傾向は、魚の種類によってすべて違ってきます。
このように、自分が釣ろうとするターゲットの魚の性質を研究することも大事です。
魚の性質や、季節のほか、天候や海の潮流を詳しく知っていれば、実際に見えていない海の中がイメージできます。
海の中を泳いでいる魚が想像できるのです。
それが、魚釣りの醍醐味なのです。
自分のイメージが当たっていれば、魚が釣れることになるのですから、楽しいわけです。
「魚を釣っているのではなく、見えないものをイメージして予想して当てる。」という男のロマンかもしれません。
話が長くなってしまいましたが、魚釣りは新鮮な情報を集めることで、釣果の大半を占めるということです。
これは、釣りに限らず、どんなビジネスでもそうです。
もちろん、学校経営でも同じです。
学生募集を行うのに、市場(マーケット)の状況をしらないのであれば、先程の釣りの初心者のように、偶然だけを頼りにしていることと同じです。
市場(釣りの場合は釣れている場所でした。)だけでなく、ターゲットの特性や趣向など、
「何が好き。」で、「何に憧れている。」、「本音と建て前。」など、ターゲットの属性(魚の種類)を理解していないと、
募集コンセプトやオファー(釣りでは餌や仕掛け)が的外れに終わることでしょう。
一所懸命に学生募集をしているのに、学生が集まらない学校というのは、自校の在校生や受験生が何を考えて行動しているかを知りません。
知ろうとしていないのかもしれませんが、ターゲットをしらなくては、どんな募集方法をして良いのか分かるはずがありません。
在校生のことをしらなくては、募集どころか、もっと大事な学校経営も空回りになることでしょう。
マーケティングリサーチ
釣り人が情報収集するには、新聞のほかに、釣り人のブログからでも見ることができます。
また、釣具店や餌屋、渡船業者に問い合わせれば、親切に、釣れている場所だけではなく、仕掛けやポイントまで教えてもらえます。
このようにして、知りたいと思えば調べる方法はいくらでもでてきます。
学生募集でのリサーチも同様です。
本当に学生を集めたいのであれば、いくらでも方法はあります。
マーケティングリサーチをして多すぎることはありません。
今までに多すぎるほど、学生に関する情報を持っている学校をみたことがありません。
マーケティングリサーチで大事なことは、リサーチが目的ではないということです。
あくまでも、リサーチは学生を募集するために必要なことであって、学校経営に重要なことを忘れてはいけません。
リサーチ結果を学生募集と学校経営に活かすことこそが重要なのです。
でないと、情報という宝の持ち腐れになってしまいます。